ZIPANG-3 TOKIO 2020 ~ 伝統的建造物群保存地区 ~「佐賀県鹿島市の歴史的風致維持向上計画を認定」

はじめに 記事をお届けするに当たり、先の北海道における地震災害、関西地方ならびに中国四国・九州地方における大雨・地震災害で未だ行方不明、並びに亡くなられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。  

 

佐賀県鹿島市の歴史的風致維持向上計画を認定
~九州では10都市目、佐賀県内では3都市目の認定~ 

歴史まちづくり法第5条に基づき、鹿島市浜中町八本木宿伝統的建造物群保存地区等の周辺整備を位置佐賀県鹿島市の歴史的風致維持向上計画について、3月26日付けで主務大臣(文部科学大臣、農林水産大臣、国土交通大臣)が認定しました。 九州地方では、これまで9都市が認定を受けているところであり、10都市目の認定となります。 なお、当日は下記のとおり、田中国土交通大臣政務官が、主務大臣連名の認定証を市長に対して直接交付しました。

鹿島市浜中町八本木宿伝統的建造物群保存地区
浜中町八本木宿地区は、浜川左岸に位置し、長崎街道のひとつ多良海道が町の中央を通っています。江戸中期頃から酒造が次第に盛んになり、江戸後期には十数軒の酒屋がありました。多良海道を中心に両側町をつくり、近世後期から昭和に至る様々な時代の多様な建築が残り、豊かな町並みを創り出しているのです。


歴史的風致維持向上計画とは

 「歴史まちづくり法」は、地域の歴史的な風情、情緒を活かしたまちづくりを支援すべく平成20年5月に公布され、同年11月に施行されました。

この法律は、我が国固有の歴史的建造物や伝統的な人々の活動からなる歴史的風致について、市町村が作成した歴史的風致維持向上計画を国が認定することで、法律上の特例や各種事業により市町村の歴史まちづくりを支援するものです。


歴史的風致維持向上計画の概要

鹿島市歴史的風致維持向上計画(佐賀県鹿島市認定申請日 H31.2.20)

重要伝統的建造物群保存地区「鹿島市浜中町八本木宿伝統的建造物群保存地区」及び「鹿島市浜庄津町浜金屋町伝統的建造物群保存地区」並びにその周辺地域と、浜祇園祭や祐徳稲荷神社への参拝といった伝統的行事等からなる歴史的風致の維持向上を図るため、重要伝統的建造物群保存地区の歴史的建造物等の保存修理、祐徳稲荷神社の参道の美装化、伝統行事で使用する用具の修理や後継者育成に係る支援に関する事業等が位置づけられています。


九州地方整備局管内における認定都市

九州地方整備局管内ではこれまでに9都市が認定を受けており、今回の鹿島市の認定により計10都市となります。佐賀県内では佐賀市、基山町に次いで3都市目になります。(全国では76都市)


⿅島市の維持向上すべき歴史的⾵致

計画期間: 2019年度〜2028年度

⿅島市は、多良岳⼭系の⼭々と有明海の⼲潟に囲まれた⾃然豊かな都市です。
肥前浜宿には重要伝統的建造物群保存地区に選定された浜中町⼋本⽊宿と浜庄津町浜⾦屋町があり、歴史的建造物が多数残っているのみならず、醸造業、漁業といった営みや祭事が受け継がれています。

鹿島市浜庄津町浜金屋町伝統的建造物群保存地区
浜庄津町浜金屋町地区は、河港を背景として成立した在郷町であり、近世の地割をよく残すとともに、近世末から近代にかけて建築された茅葺町家と桟瓦葺町家が混在する特色ある歴史的風致を今日によく伝えています。


周囲には多くの参詣者を集める祐徳稲荷神社や、往時を偲ばせる⿅島城址があり、季節の訪れを感じさせる⾏事が続いています。また、市内⼀帯において、⺠俗芸能である多様な浮⽴や地域独特の獅⼦舞が継承されています。

このように歴史的な建造物や歴史まちなみと伝統を反映した活動が⼀体となって、本市固有の歴史的⾵致を形成しているのです。


①肥前浜宿に息づく⼈々の営みにみる歴史的⾵致

肥前浜宿は⽩壁の町家が特徴的な浜中町⼋本⽊宿と草葺の町家が並ぶ浜庄津町浜⾦屋町を中⼼として、歴史的建造物が集積しています。 醸造業や漁業の営みが息づき、四季折々の祭事も 継承され、⾃然環境を活かした産業や繁栄を願う⼈々の活動が⼀体となった歴史的⾵致を形成してます。 


②祐徳稲荷神社参拝と地域の営みにみる歴史的⾵致

江⼾時代に創建された祐徳稲荷神社は現在まで多くの参拝者を集めており、特に四季折々の年中⾏事では多くの⼈々で賑わう。⾨前町にはかつての⾵情を残す商店が⽴ち並び、参拝者を楽しませています。かつて海路からの参拝順路として利⽤された浜町は現在も祐徳稲荷神社とつながる観光ルートとなっています。浜町と祐徳稲荷神社⾨前は浜川を利⽤した営みにもつながりがみられるのです。 

日本三大稲荷「祐徳稲荷神社」奥の院


➂⿅島城址と琴路神社の祭りにみる歴史的⾵致

⿅島鍋島藩の城下町として形成された⿅島地区では、今なお藩政を慕う⼼が⼈々に息づいています。 往時の⾯影を遺す⿅島城址では、藩政期に由来する桜まつりが継承されています。琴路神社の例⼤祭では、⿅島城址を取り囲み、神輿や獅⼦舞などが巡⾏し、活気あふれる歴史的⾵致が形成されているのです。


④浮⽴と獅⼦舞にみる歴史的⾵致

⾯浮⽴や鉦浮⽴、獅⼦浮⽴、⼀声浮⽴といった浮⽴や扁平な⾯が特徴的な獅⼦舞が市内に広く継承されています。浮⽴や獅⼦舞は各地区の神社に奉納されるだけでなく、市街地や⽥園⾵景を背景に巡⾏します。こうした祭事の光景は豊かな⾃然と各地区の伝統を反映したハレの⽇の歴史的⾵致を伝えているのです。

獅子の踊りで、誰もが思い浮かべるのは、「獅子舞(ししまい)」でしょう。
獅子舞は全国にあり、その種類も非常に多いものです。佐賀県内にもたくさんの種類の獅子舞が伝承されています。これほどまでに全国に獅子舞が多いのはどうしてでしょう。古くから日本では猪や鹿などの野獣を一般的にシシと呼んでいて、精霊が田畑を荒らさないように願いを込めて、シシ舞を神に奉納する習わしがありました。つまりシシは鬼と同じで悪の化身だったのです。

ところが大陸から伎楽(ぎがく)の獅子舞が伝わり次第に普及してきました。伎楽の獅子は霊獣として敬われています。

その後、この伎楽の獅子舞が、わが国在来のシシ舞と合わさって、神楽を始めさまざまの芸能に分かれ発展したために、獅子が悪疫や災禍を払う霊獣として敬われ、全国にさまざまな獅子舞が広がるようになりました。

佐賀県内には大神楽系統、伎楽系統、散楽系統、浮立系統の獅子舞のほか、鎮魂的な素朴な獅子舞があります。鹿島には浮立系統の獅子舞(獅子浮立)と鎮魂的な獅子舞があります。獅子浮立は鎮守神社に奉納される「嘉瀬浦獅子浮立」が1ヵ所、獅子舞は6ヵ所に残り、松岡神社・三嶽神社・琴路神社・五の宮神社に奉納されています。


歴史的建造物の保存・活⽤に関する事業
④ 歴史的建造物保存対策事業( Ⅲ-1)

伝統的建造物群保存地区を除く重点区域全域において、歴史的⾵致形成建造物に指定された建造物についての保存修理を実施すます。これにより、これまで指定等が⾏われていなかった歴史的建造物の保存・活⽤を推進し、歴史的⾵致の維持及び向上につなげるのです。


伝統や⽂化を反映した⼈々の活動の継承に関する事業
⑥ 伝承芸能の公開⽀援事業( Ⅱ-2)

本事業では、市全域に分布する浮⽴や獅⼦舞といった⺠俗芸能をはじめとした伝承芸能を披露する場として、祐徳稲荷神社境内において「かしま伝承芸能フェスティバル」を開催し、⺠俗芸能の技術伝承および市内外の⾒物客への認知向上につなげます。


歴史的建造物を取り巻く環境の保全に関する事業
 ⑬祐徳稲荷神社参拝回遊環境整備事業( Ⅲ-4)

本事業では、肥前浜宿と祐徳稲荷神社周辺をつなぐ浜川と、浜川から⽔を引いた⽔路の親⽔環境を整備し、流域の旧参道の散策路整備やサイクリングロードとしての道路付帯施設や落下防⽌柵等の修景整備を⾏うことで、周辺の景観を楽しみながら参拝回遊ができる環境を整えます。


歴史的⾵致に対する認識に関する事業
㉑歴史ガイドブック作成事業( Ⅳ-7)

本事業では、市内の各地区の歴史や⽂化を分かりやすく伝えるためのガイドブックであります「歴史さんぽシリーズ」の作成を継続して⾏っていく。また、これまでのシ リーズと合わせた統合版を作成し、⿅島市の歴史や⽂化に関しての認知向上を図ります。


本号では佐賀県鹿島市をご紹介しておりますが、同時に千葉県香取市・栃木県下野市・栃木県栃木市の歴史的風致維持向上計画が認定されておりますので、近々に他の地区についてもご紹介したいと思います。


鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」の明和町観光大使



協力(順不同・敬称略)

国土交通省 〒100−8918 東京都千代田区霞が関2-1-3 (代表電話) 03-5253-8111

農林水産省 〒100-8950 東京都千代田区霞が関1-2-1電話:03-3502-8111(代表)

文部科学省 〒100-8959 東京都千代田区霞が関三丁目2番2号 電話:03-5253-4111(代表)

文化庁〒100-8959 東京都千代田区霞が関3丁目2番2号 電話番号(代表)03(5253)4111

祐徳稲荷神社〒849-1321 佐賀県鹿島市古枝 電話 0954-62-2151 

鹿島市役所 〒849-1312 鹿島市大字納富分2643番地1 TEL:0954-63-2111(代表)

一般社団法人 佐賀県観光連盟
〒840-0041 佐賀県佐賀市城内1丁目1-59 TEL: 0952-26-6754



※画像並びに図表等は著作権の問題から、ダウンロード等は必ず許可を必要と致します。





ZIPANG-3 TOKIO 2020

2020年東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。この機会に、世界の人々にあまり知られていない日本の精神文化と国土の美しさについて再発見へのお手伝いができればと思います。 風土、四季折々の自然、衣食住文化の美、神社仏閣、祭礼、伝統芸能、風習、匠の技の美、世界遺産、日本遺産、国宝等サイトを通じて平和な国、不思議な国、ZIPANG 日本への関心がより深かまるならば、私が密かに望むところです。

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