ZIPANG-3 TOKIO 2020「天道信仰と天道法師 タクズダマ【寄稿文12】西 護」

はじめに 記事をお届けするに当たり、この度の山形沖を震源地とする、地震災害で被災された方々、並びに前年の北海道・関西地方ならびに中国四国・九州地方における大雨・地震災害で未だ行方不明、並びに亡くなられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。


龍良山 聖地・八丁角

龍良山を守ってきた天道信仰のひとつ「裏八丁郭」



【対馬の伝承・異伝】

7世紀後半、内院(ないいん。厳原町)に高貴な女性が虚船(うつろぶ

ね)に乗って漂着し、太陽に感精して子を産みました。「太陽の子」は天

道法師と呼ばれ、嵐をまとって空を飛び、天皇の病気を治すなどの奇跡を

おこします。

豆酘(つつ)の北東に広がる龍良山(たてらさん)中の八丁角(はっち

ょうかく。北と南の2ヶ所にある石積み)は、天道法師とその母の墓所と

され、多久頭魂神社境内の不入坪(イラヌツボ)とあわせて「オソロシド

コロ」と呼ばれ、龍良山という聖域の結界を構成しています。

対馬固有とされる天道信仰は、天道法師という超人と霊山・龍良山を中

心に、太陽信仰・母子神信仰・修験道・古神道などの要素が複雑に絡み合

い、平安時代ころに成立したと考えられています。

多久頭魂(たくずだま)神社境内にある神住居(かみずまい)神社

多久頭魂(たくずだま)神社(番号21)の現在の祭神は天神・天孫系

ですが、古くは龍良山を御神体として社殿はなく、対馬固有のタクズダマ

(多久頭魂)を祭り、神仏習合時代にはタクズダマ=天道法師とされてい

ました。天道信仰の南の中心部・豆酘には高御魂(たかみむすび)神社

(番号22)が、北の中心部・上県町佐護には神御魂(かみむすび)神社

(番号9 5)があり、多久頭魂神は、両社にまつられたタカミムスビとカ

ミムスビの子神とされています。

対馬 豆酘崎(つつざき)

豆酘は対馬の南端に位置し、陸路による他地域との交流が少ない反面、

航路の拠点として国内外の文化が流入する地域であり、亀卜や天道信仰、

赤米神事など独自の文化・歴史が形成されてきましたが、近年は過疎・高

齢化のため、伝承の存続が危ぶまれています。

龍良山 シンボルツリー スタジイ

なお、龍良山はその強烈なタブーにより、標高120mの低域から山頂

558mまで良好な照葉樹原始林(スダジイ・イスノキ・アカガシなど)が

残り、国の天然記念物に指定されています。龍良山に入ると、「森の神」

が生きていた縄文時代の森の雰囲気を感じることができます。





【寄稿文】 西 護

一般社団法人 対馬観光物産協会 事務局長



協力(順不同・敬称略)

一般社団法人 対馬観光物産協会 〒817-0021 長崎県対馬市厳原町今屋敷672番地1
観光情報館ふれあい処つしまTEL 0920-52-1566



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ZIPANG-3 TOKIO 2020

2020年東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。この機会に、世界の人々にあまり知られていない日本の精神文化と国土の美しさについて再発見へのお手伝いができればと思います。 風土、四季折々の自然、衣食住文化の美、神社仏閣、祭礼、伝統芸能、風習、匠の技の美、世界遺産、日本遺産、国宝等サイトを通じて平和な国、不思議な国、ZIPANG 日本への関心がより深かまるならば、私が密かに望むところです。

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