はじめに 記事をお届けするに当たり、この度の九州豪雨と山形沖の地震災害、並びに近年の北海道・関西地方、並びに中国四国・九州地方他、多くの大雨・地震災害で未だ行方不明、並びに亡くなられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。
かって三軒の旅館が営業していた頃の様子です
現在の塚原温泉。旅館は木造建築。背景のこんもりした緑の森の奧に火口から立ち上る噴気が見えます
火口は標高1,045mの伽藍岳(がらんだけ)中腹、標高約800メートルのところにあり希望者は見学可能です。
塚原温泉の歴史
塚原温泉の歴史は古く、今から800年ほど前の12世紀、平安時代に開湯したと伝えられています。大正から昭和時代にかけては、現在の立地に「宇佐屋旅館」、「泉屋旅館」、「由原屋旅館」の三軒の旅館が営業していました。
源 為朝(みなもとの ためとも)にまつわる伝説
塚原温泉には、平安時代の豪傑「源為朝(みなもとの ためとも)※」についての伝説が残っています。 12世紀、為朝が山で狩りをしていた時、傷ついたシカが湯溜まりに浸かり傷を癒しているのを見て塚原温泉を発見したと伝えられています。
※源為朝は源頼朝、義経兄弟の叔父にあたり、剛柔無双を謳われた。身長は2m以上あり剛弓の使い手であった。幼少期より荒くれ者で、父・為義により九州へ追放。ところが九州を制圧して鎮西八郎を名乗りました。
源義経が生きのびて、チンギス・ハーンになったという伝説がありますが、源為朝は琉球に渡り、その子が琉球王 舜天となったという話があります。
真意の程はわかりませんが、琉球正史「中山世鑑」や琉球歌謡集「おもろさうし」※に記載されています。
※「おもろさうし」とは1531年から1623年にかけて首里王府により編纂された歌謡集です。
雄大な塚原高原を見下ろす伽藍岳(がらんだけ)山頂付近には、その昔、源 為朝が一刀両断にしたと言い伝えられる巨大な石「一刀岩(いっとういわ)」が鎮座しています。
「塚原温泉 火口乃泉」の温泉の特徴
~平安時代から湧き続け、伽藍岳(がらんだけ)の中腹にある強酸性の温泉~
●鉄イオンの多さ 全国1位
●酸性度の強さ 全国2位
●アルミニウムイオンの多さ 全国2位
●日本3大薬湯の1つ
上記のように全国的にも珍しい泉質を持つ貴重な温泉です。
【特徴1】~強い酸性で湯治に適した泉質~
第一の特徴は秋田の玉川、山形の蔵王とともに「日本三大酸性泉」と呼ばれるpH(ペーハー)約1.5の強い酸性(レモンやカボスよりはるかに酸性が強い)です。
お湯は非常に個性的で、他に類の無い泉質です。普通、温泉の泉質は「単純泉」とか「ナトリウム塩化物泉」など短いものですが、塚原温泉火口乃泉は「酸性-含硫黄・鉄・アルミニウム-カルシウム-硫酸塩泉」と長い名前がついています。これだけ多くの成分を含んでいる貴重な温泉ということです。
酸性泉はその高い効能から古来より現代にいたるまで湯治に利用されています。浸かり・乾かしを繰り返しながらの入浴が効果的です。
【特徴2】~人体に有用な金属イオンを多量に含んでいます~
二番目の特徴は、お湯に多量の金属イオンを含むことです。鉄含有量(456mg)は日本一で、温泉法基準の40倍以上を含みます。アルミニウム含有量は日本第二位(295mg)で、療養泉の基準の約3倍です。鉄分といえば「赤茶色」のお湯をイメージしますが、それは酸化された鉄(サビ)の色。新鮮な状態(イオン)の鉄は緑色のことが多く、「塚原温泉火口乃泉」も透明緑色のお湯です。このほかにも人体に有用なカルシウムや、硫黄も多く含み、様々な効能を期待できるお湯なのです。
また、酸性の強さは玉川温泉や蔵王温泉とほぼ同じですが、成分量では「塚原温泉火口乃泉」が群を抜いており、人間の生理食塩水と同等の「等張性温泉」でもあります。これだけ強い酸性の等張性温泉は類が無く、非常に貴重なものとされています。
泉質名
酸性-含硫黄・鉄・アルミニウム-カルシウム-硫酸塩泉(60℃前後)
(旧称)酸性-含硫黄・緑礬・明礬-石膏泉
※循環・ろ過・沸かし・加水などは一切していない自噴かけ流しの温泉です。
※石けん、シャンプーは温泉の泉質状、使用出来ません。
総檜の浴室(床・壁・天井、梁、そして浴槽と吐水口)、木風呂の框の幅と厚みは3対1の比率が一番美しく見えます。また、框は柾目使いを推奨します。出来ることなら木曾檜を・・・板目使いをするのであれば「高野槙(こうやまき)」をお勧めします(節が入っていても一向にかまいません)
塚原温泉の効能
慢性皮膚炎 / 糖尿病 / 打ち身 / 切り傷 / 疲労回復 / 関節のこわばり / やけど /
くじき / 筋肉痛 / 神経痛 / 五十肩 / 病気回復期 / 痔疾 / 月経障害 / 動脈硬化症 /
関節痛 / 慢性婦人病 / 慢性消化器病 / 冷え性 / 運動マヒ / 健康増進
温泉の種類
塚原温泉火口乃泉には、内湯(男女別大浴場)、露天風呂、家族風呂(4室)、家族風呂(離れ1室)の4種類のお風呂があります。
内湯(男女別大浴場)
屋内大浴場では、男湯、女湯の内湯を利用できます。
塚原温泉内湯男女別大浴場建物外観
露天風呂
目前に拡がる大自然の開放感を存分に味わいながら塚原温泉の湯を楽しむことができます。
家族風呂(4室)
貸し切りでゆっくり入浴できる家族風呂は4室あります。新しい木風呂も良いですが、年季の入った木の浴槽がいい味を出していますね~木は、一年中温泉や湯や水につけておけば腐りません。中途半端に乾燥させたり濡らしたりするとかえって良くないのです。
当時の湯治温泉場の風情を残している木造建築平屋の家族風呂外観
上記以外に家族風呂(離れ)があり貸し切りでゆっくりと入浴できます。
家族風呂(離れ)には、浴槽が2つあります。
火口見学
約5分歩くと、もくもくと噴気が立ちのぼる地獄を近くで見ることができます。大地の鼓動を感じることができる地獄はエネルギー溢れるパワースポットです。火口前の広場からは、彼方にひろがる雄大な塚原高原や由布岳を望めます。ご希望の方は受付にてお申込み下さい。
火口付近から見える景色(左側の山は由布岳、近くには金鱗湖があり由布院温泉へ)
伽藍岳(がらんだけ)の標高は1,045mで、別名を硫黄山と言います。塚原温泉火口乃泉は西側の山腹に位置し、見学できる火口は標高約800メートルの中腹にあります。
2017年2月4日にNHKの番組内で京都大学名誉教授の由佐 悠紀(ゆさ ゆうき)教授からタモリさんへ「伽藍岳(がらんだけ)の地下に眠る熱水こそが別府八湯※すべての温泉源であり、別府温泉全てのお湯の供給源となっている。」と説明がありました。
※別府八湯とは市内8つの代表的温泉地の総称です。 これらはもともと独立した温泉場として栄え、古いものは8世紀初めに遡る歴史を持つ温泉もあります。 明治時代以降、交通の便が確保され温泉場の開発も進み、大正時代には現在の8つの温泉地に「由布院」、「塚原」を加えた「別府十湯」と呼ばれていました。 その後の町村合併等で大正13年に市制施行されるまでに現在の「別府八湯」の名称が定着したようです。 8つの温泉地は市内全域に点在しているので、同じ市内でも泉質が異なり風景も温泉地ごとに趣があります。
浜脇温泉、別府温泉、亀川温泉、鉄輪(かんなわ)温泉、観海寺(かんかいじ)温泉、
堀田温泉、柴石(しばせき)温泉、明礬(みょうばん)温泉
塚原温泉名物「蒸し卵」
特長
・塚原温泉火口乃泉が位置する伽藍岳(がらんだけ)の噴気で約20時間蒸し、温泉の成分を染み込ませた蒸し卵(噴気で魚や野菜などを蒸すこともできる)
・燻製の様な風味 ・殻を剥きやすい ・卵を目当てに来るお客様もおり、売り切れることも多い。
・防腐剤や食品添加物は一切使用していません。
鉱泉水「源泉」
噴気が立ち昇る伽藍岳の中腹(標高約800m)より湧出する冷鉱泉を受付、または通信販売にて購入することが出来ます。
主な用途
アトピー性皮膚炎、あせも、ニキビ、吹き出物、水虫、やけど、虫刺され、かゆみ、切り傷等でご使用になられている方が多いです。
使用方法
●患部にティッシュやコットン等で、1日数回塗布。大人の方は原液のまま使います。但し、大人でもアトピーやただれ等、皮膚の症状によっては、刺激の少ないように少し水で薄めてご利用下さい。
●皮膚の弱い方や乳幼児は水で2~3倍等に薄めて利用。
●酸性が強いため、目に入るとしみるので注意が必要です。
●肌に痛みや異常などが見られた場合は使用を中止して、皮膚科医などの医師の診断を受けて下さい。
保存方法 直射日光を避けて冷暗所で保存して下さい。
交通アクセス
編集後記
遠い昔の記憶によると塚原温泉を訪ねたのは、平成のはじめ位であったように思う。
熊本の北里柴三郎博士の実家がある小国温泉から落ち着いた和風の町並みと露天岩風呂が特徴の通称地蔵湯「黒川温泉」に入り、さらに峠を越えて由布院温泉へ、1990年竣工したばかりの建築家磯崎新氏設計による由布院駅を観るためであった。(勿論、町並みと高温の由布院の湯も・・・)
旅に出たら出来るだけ地元の人たちと話をするように心掛けている。
地元の人でないと知らないような、ガイドブックにも載っていない話が聞けるからでもある。
そこから日田に行き帰郷する予定であったが、偶然お目にかかった駅構内に造られた美術館館長のU氏から近くに秘湯温泉があることを聞き、気ままな一人旅なので予定を変更して噴気の立ち上る塚原温泉を訪ねることとした。(途中、噴気の所為で立ち枯れた木々の間を抜け)いよいよこの世とあの世の境界線までやって来たのかとその先を想像し、火口の噴気を気にしながら入浴。湯上りに吐水口の横に置いてあった木のコップで飲泉。
周囲の環境がそう思わせたのか?流石に効き目のある味・・・どんな味かって⁉「物は試し」一度飲泉してみて下さい!
信玄の隠し湯ならぬ、とって置き㊙鎹八咫烏の隠し湯だった筈なのに…と思いきや、近年次々とマスコミに紹介されるにあたり、出鼻をくじかれ、シブシブ(⁉)ご紹介した次第であります。
えぇ、その後どうしたかって?実は、ここまで来たのなら破れかぶれ・・・
つい勢いで、日本有数の炭酸泉「長湯温泉」を訪ね、当時は一日に二本あるかないかの直行バスで大分駅まで出て国東半島の八幡総本宮 宇佐神宮、富貴寺にお参りしたのです。そのお蔭か神仏通力?を得て空飛ぶ烏と化しました。…ハイ!飛び回わり過ぎで最早や足と羽が折れかかった今では、精々近くの温泉地一軒行くのがやっと・・・カ~ラ~スなぜ啼くの カァ〜
「善は急げ、悪は述べよ」と申します。ご興味のある方は、小生の拙い体験から元気で行けるうちに行かれることをお勧めいたします。(本当は今の貴方に必要なんでしょ…と外野席・・・納得!)
鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
協力(敬称略)
塚原温泉 火口乃泉(かこうのいずみ)
〒879-5101 大分県由布市湯布院町塚原1235番地TEL 0977-85-4101
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