はじめに 記事をお届けするに当たり、このたび関東・東北地域を直撃した、強烈な台風19号と、続く21号の記録的な大雨で、千葉や福島など5県の34河川で浸水被害や土砂災害により亡くなられた方々を始め、多岐に亘って被災された皆様へ心よりお見舞い申し上げます。
2019 年度日本デザイン学会秋季企画大会及び2019年度日本デザイン学会第1支部大会が秋の香りあふれる山形においてライトニングトーク、フィールドワークなど自由な研究交流が行える場を用意して下記要項にて開催されますので、ご案内いたします。
要項
■日程:2019年11 月8 日(金)~ 11 月10 日(日)
■会場:東北芸術工科大学
■テーマ「おいしいデザイン」
長い年月を経て地域が生み出した独自の素材、技術、文化、伝統など、それらの魅力を多角的に引き出し、私たちの思考や日々の生活を真に豊かにする地域のデザインが今日求められています。そして、地域特有の良質なデザインに出会えることは、旅の楽しみにもつながります。
さて、山形県内の2つの空港には、「人も食も、自然も文化もすべてがおいしい」そのような思いを込めて、「おいしい山形空港」「おいしい庄内空港」という愛称がつけられています。
「おいしい」という言葉は「味がよい」という意味に留まらず、「ここでしか味わえない魅力」「自分も幸せ、みんなも幸せ」など幅広い解釈もでき、人の感覚の奥深いところに響く魅力や価値を表しています。
令和元年を迎え、本大会では未来をポジティブに切り拓くためのテーマとして、「おいしいデザイン」を掲げ、ここ山形市を舞台に、地域を元気にするデザインを見つめ、未来を語り合う企画としてフィールドワーク「おいしい山形を探そう!」をはじめ、自由な研究交流を行える場が用意されております。秋の香りあふれる山形にご参集され、先進性を目指す新しい魅力を共有されては如何でしょうか。
■主な大会プログラム
11月8日(金)
14:00- 受付開始
15:00- 開会式、各賞表彰式・挨拶
15:40- 17:00
基調講演「おいしいデザイン」中山ダイスケ氏(東北芸術工科大学 学長)
農業県山形県の小都市山形市に在する芸術デザイン系大学として、食文化や農林水産業、地域社会が抱える未来課題との関わりは、東北芸術工科大学の重要なアイデンティティーとなっています。首都圏の大学とは全く異なった状況に大学をあげて奮闘する取り組みを紹介しながら、新しい時代の芸術大学の役割を考えてみます。
17:10- 17:40
出版記念講演「デザイン科学事典」出版とデザイン科学の今後
松岡由幸氏(日本デザイン学会 学会長)
本講演では、このたび上梓される「デザイン科学事典」(学会編,丸善出版)の概要を紹介します。また、この編纂には、構想段階を含めると10年以上を要しており、その編纂を通じて得られた、学会が取り組むべき今後の課題についても言及します。
11月9日(土)
08:30- 受付開始
09:30-11:30 ライトニングトーク
企画テーマに関連したテーマを中心に、研究成果、活動紹介、研究コンセプトの紹介、課題の共有など広く発表を募集します。日本デザイン学会員だけでなく、非会員の方の参加も大歓迎です。発表時間は5分と短いですが、様々な話題を同時に共有することができます。
12:20-13:50 学生プロポジション(出展登録・設営 10:30-12:00)
「学生プロポジション」は、大学院、大学、専門学校等で学ぶ学生達が日頃の研究成果を展示発表、交流することにより、幅広いデザインの知と技を共有する場です。ポスターと作品を用いた対話形式で行います。優秀者には賞が授与されます。
14:30-17:50
フィールドワーク「おいしい山形を探そう!」(会場:guraラウンジホールおよび山形市七日町周辺)
先着30名の事前登録による社会人と学生混成の6チームを結成します。チーム毎にテーマを決めてフィールドワークを行います。
14:15-15:45 討論会「新しい論文のかたち」(会場:東北芸術工科大学)
デザイン実務そのものも研究対象とするデザイン学は、他領域がこれまでに到達していない新しい学術的領域を切り拓くと同時に、そこで得られる実質的な成果・知見・経験の言語表現の新しいかたちを提案する可能性を有しています。その提案までには多くの試行錯誤を必要としますが、そのキックオフとして「新しい論文のかたち」と題した論文審査委員会による公開討論会を開催したいと考えています。自由な形での意見交換を予定しておりますので、ご興味のある方、ご意見をお持ちの方はどなたでも、この討論会に自由にご参加いただけます。
18:30-20:00 懇親会(会場:山形国際ホテル)
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11月10日(日) 10:00-11:20
フィールドワークの成果発表
各グループが発見した「おいしい山形(その土地でしか出会えない魅力)」を映像と共に発表し、地域固有の価値について意見交換します。
11:30-12:30 閉会式
13:00- 研究部会研究会
■お問い合わせ先
・秋季企画大会・第1支部大会実行委員会 jssd2019f@gmail.com
それぞれの企画につきましては、下記にお問い合わせください。
・学生プロポジション事務局
(担当:藤田寿人) prop.jssd2019f@gmail.com
・ライトニングトークおよびフィールドワーク
(担当:柚木泰彦、酒井 総、長田純一) jssd2019f@gmail.com
■2019年度日本デザイン学会秋季企画大会・第1支部大会実行委員会
大会実行委員長:柚木泰彦
大会副実行委員長:酒井 総
実行委員:長田純一、藤田寿人
(五十音順)
山形市の見どころ
山形市在住の日本デザイン学会名誉会員・東北芸術工科大学名誉教授 日原もとこ女史推薦の山形市の見どころをご紹介いたします。全国からご参加の皆様、この機会にご視察ください。
山形市内の擬洋風建築群
イサベラ.バードが称賛した美しい旧県庁舎と県議会議事堂、旧済生館 中庭を囲む円形の建築ドイツの医師が設計!
その1
山形県郷土館「文翔館」
「文翔館」(旧県庁舎及び県会議事堂)は、大正5年に建てられた英国近世復興様式のレンガ造りの建物です。大正初期の洋風建築を代表する貴重な遺構として、昭和59年、国の重要文化財に指定されました。昭和61年から10年の歳月をかけて保存修復工事が行われ、現在は、山形県郷土館「文翔館」として一般に無料公開されています。
創建当時の工法をもとに忠実に復原された建物や豪華な内装は、大正の古き良き時代の薫りを今に伝え、館内には、復原の記録とともに山形の歴史・文化を紹介する展示室も設けられています。どなたでも自由に見学することができます。また、希望の方にはガイドボランティアがご案内します。
文翔館は、「議場ホール」「中庭」「ギャラリー」「会議室」の貸出を行っており、コンサートや演劇公演、展覧会、「県政史緑地」での地域イベントなど、様々な文化活動の場として広く一般に開放され、多くの県民に親しまれています。
沿革
明治9年に現在の山形県が成立した後、初代県令三島通庸の手によって明治10年に山形県庁舎が、また同16年に県会議事堂が旅篭町に建設されましたが、同44年5月の山形市北大火により両棟とも消失してしまいました。ただちに同地で両棟の復興が計画され、大正2年4月に着手、同5年6月に完成したものが現在の旧県庁舎及び県会議事堂です。
設計は、米沢市出身の中條精一郎を顧問として東京都出身の田原新之助が担当し、工事は山形県の直営で行われました。
旧県庁舎及び県会議事堂は、英国近世復興様式を基調とした建物で、渡り廊下で結ばれています。旧県庁舎はレンガ造り3階建てで外廻りの壁面は石貼りで覆われています。昭和50年まで県庁舎として使用されていました。
また、旧県会議事堂はレンガ造り一部2階建てで、当初から公会堂としての性格も併せ持って計画されました。このため議場の議員席も固定席ではなく、講演会や演奏会等さまざまな催しに使われていました。しかし、手狭であったために昭和5年新議事堂が建設され、その後旧議事堂は改造され事務室として使用されていました。
昭和50年の県庁移転後は、両棟を文化財として保存することとなり、同59年12月には国の重要文化財に指定されました。
その後、同61年から文化庁の補助を受けながら修理工事を進め、平成7年9月に10年におよぶ工事が完成しました。
玄関
中央階段室
最上川は語る(旧土木課製図室)
中庭
時計塔
旧県庁舎の塔時計は、日本で現在稼動している内では、札幌の時計台に次いで2番目に古いものであり、文翔館のシンボルでもあります。
建物の基礎から塔の避雷針の付け根までの高さは約25メートルで、最上階には大きな時計装置があります。振り子を動かす分銅は、5日に1度、時計職人の方が手動で巻き上げており、現在まで文翔館の時をたゆまず刻み続けています。また文字盤は直径1メートルあり、4辺に顔を見せています。
文翔館では時計塔内見学の催しをすることがありますので、どうぞご参加ください。
正庁
主に訓示や辞令交付等を行った部屋で、現在で言えば講堂にあたります。かつては貴族院議員の選挙、県内の警察署長会議や旧制中学校長会議等の重要な会議にも使用されました。
大理石の飾り柱等は当時のままですし、内装は特に豪華に作られています。
天井は花飾り等のある漆喰天井で、職人が細やかな花びらを1枚1枚作りあげました。
こうした様子をおさめたビデオを3階の「復原の記録(旧郡市長控室)」と2階の「映像ホール(旧警保課)」でご覧になれます。
正庁からはバルコニーに出られ、一直線の七日町大通りを眼下に見ることができます。
なお、天候等により見学できない場合もあります。
貴賓室
知事室
知事の執務室として使用されていた部屋です。当時の様子がわかるように机・椅子・壁紙が復原されています。当時の壁紙の模様からザクロやブドウなどをそのままに写し取り、壁紙を復原しました。
当時の壁紙は、「復原の記録(旧郡市長控室)」でご覧になれます。
絨毯(じゅうたん)は、1960(昭和35)年に山形で織られ、実際にこの部屋で使用されていたものです。クリーニングの上、敷きなおされました。どうぞ足元もご覧ください。
内務部長室
議場ホール
来賓室
2階廊下の窓
工事概要
工事は、建築当初の復原を目指し、あわせて必要な構造補強や活用のための新たな設備工事等を実施しました。事業は、設計監理を財団法人文化財建造物保存技術協会に委託し、山形県の事業として行いました。修理工事の概要は次のとおりです。
解体範囲を最小限にとどめ、極力在来の材料を使用しながら従来の工法で施行して創建当時の姿の復原を目指しています。
構造補強のため、旧県庁舎では、小屋裏の水平鉄骨トラスの架設や煉瓦壁頂部からの鉄筋の挿入などを行ったほか、旧議事堂では議場棟の両側に鉄骨造のバットレスを設けるなどの対策を講じ、施行にあたっては、できるだけ内装に影響を与えないように配慮してあります。
活用のために、新たに冷暖房設備、エレベーター、身障者用の便所を設置。
「正庁」、「貴賓室」、「知事堂」、「内務部長室」等の天井を漆喰飾天井に復原したほか、カーテン、壁紙、シャンデリア、絨毯など、できる限り復原を目指しました。
床材では、日本では既に製造されていないリノリウムを使用して復原に努め(議場など)、屋根は当時と同じスレート葺きとし、時計塔の銅板葺きなどを再現し、議場では美しいヴォールト天井や正面出入り口上のバルコニーなどの意匠を復原しました。
ガイドボランティア
文翔館ガイドが館内をご案内します。
・料 金 無料
・所要時間 約1時間(時間のご都合に合わせてご案内いたします)
・利用方法 要予約(ガイドボランティアの空きがある場合は当日でも可)
交通アクセス・駐車場(文翔館)
<バスでお越しの場合>
・JR山形駅から市役所経由路線バスで市役所前下車・徒歩1分
・JR山形駅東口より「ベニちゃんバス東くるりん・西くるりん」乗車、旅篭町2丁目下車・徒歩5分
<お車でお越しの場合>
山形自動車道、山形蔵王ICから約10分
<駐車場>
・場所 文翔館北側(約40台)
※満車の場合は周辺の有料駐車場をご利用下さい。(割引サービスはございません)
・料金 無料
大型バス・マイクロバスでお越しの場合はご予約下さい
交通アクセス(東北芸術工科大学)
無料送迎バス/公共バス
イベント当日は無料送迎バスをご用意しておりますので、 ぜひご利用ください。また、公共バスも山形駅から出ております。
無料バス
JR山形駅 東口バスプールより乗車 大会プログラムの開始時間に合わせて運行予定 (会場まで約15分)
公共バス
JR山形駅東口バスプール
5番乗り場から「東北芸術工科大学前ゆき」に乗車
(会場まで約20分)
〈無料送迎バス時刻表〉
11.8 (金)
運行
13:30/山形駅発 → 13:50/大学着
14:20/山形駅発 → 14:40/大学着
18:00/大学発 → 18:20/山形駅着(山形国際ホテル経由)
11.9 (土)
運行
08:00/山形駅発 → 08:20/大学着
08:10/山形駅発 → 08:30/大学着
08:50/山形駅発 → 09:10/大学着
09:00/山形駅発 → 09:20/大学着
14:00/山形駅発 → 14:20/gura着
14:05/山形駅発 → 14:25/gura着
16:00/大学発 → 16:20/山形国際ホテル着
(山形国際ホテルの送迎バスを利用します。山形駅まで徒歩5分です。)
18:00/gura発 → 18:10/山形駅着(山形国際ホテル経由)
18:10/gura発 → 18:20/山形駅着(山形国際ホテル経由)
11.10 (日) 運行 08:30/山形駅発 → 08:50/大学着 09:20/山形駅発 → 09:40/大学着
3:00/大学発 → 13:20/山形駅着
続く・・・
鎹八咫烏記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
石川県 いしかわ観光特使
協力(順不同・敬称略)
山形県郷土館「文翔館」〒990-0047 山形市旅篭町3丁目4番51号 Tel.023(635)5500
日原もとこ(色紐子)
東北芸術工科大学名誉教授 風土色彩文化研究所 主宰 まんだら塾塾長
日本デザイン学会名誉会員 インテリア学会名誉会員 アジア文化造形学会会長
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