はじめに 記事をお届けするに当たり、先の北海道における地震災害、関西地方ならびに中国四国・九州地方における大雨・地震災害で未だ行方不明、並びに亡くなられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。
我が国の推薦資産に係る世界遺産委員会諮問機関による評価結果及び勧告について
今般,我が国が世界文化遺産へ推薦を行っている「百舌鳥・古市古墳群」について,世
界遺産委員会の諮問機関であるイコモスによる評価結果がユネスコ世界遺産センターから通知されました。
1.イコモスの評価結果
「百舌鳥・古市古墳群」については,「記載」が適当との勧告がなされた。
(参考1)諮問機関による評価結果の4つの区分
① 記載(Inscription):世界遺産一覧表に記載するもの。
② 情報照会(Referral):追加情報の提出を求めた上で次回以降に再審議するもの。
③ 記載延期(Deferral):より綿密な調査や推薦書の本質的な改定が必要なもの。推薦書の再提出後,約1年半をかけて再度諮問機関の審査を受ける必要がある。
④ 不記載(Not to inscribe):記載にふさわしくないもの。(世界遺産委員会で不記載決議となった場合,例外的な場合を除き再推薦は不可。)
(参考2)イコモス(国際記念物遺跡会議)
ICOMOS (International Council on Monuments and Sites)。文化財の保存,修復,再生などを行う国際非政府間組織(NGO)。本拠地はパリ。1965年設立。
2.今後の予定
第43回世界遺産委員会(令和元年6月30日~7月10日,於:アゼルバイジャン)において,イコモスの勧告を踏まえ,世界遺産一覧表への記載の可否が決定される。 なお,世界遺産委員会による決議は,諮問機関の勧告と同じ「記載」,「情報照会」,「記載延期」,「不記載」の4区分である。
イコモスの評価結果及び勧告の概要
(「百舌鳥・古市古墳群」)
① 顕著な普遍的価値(OUV)について
百舌鳥・古市古墳群における45件49基の構成資産は,傑出した古墳時代の埋葬の伝統と社会政治的構造を証明しており,一連の資産は顕著な普遍的価値を証明していると考える。
② 完全性について
イコモスは,完全性の状態は45件49基の構成資産ごとに異なるものの,概ね担保されていると考える。
③ 真実性について
古墳の歴史性や保存状況にもとづき,真実性は満たされていると考えるが,その 程度には多様性が認められる。
④ 比較研究について
イコモスは,比較研究は適切であると考える。
⑤ 評価基準の適用について
・基準(iii)について
イコモスは,本推薦資産がこの評価基準に適合していると考える。
・基準(iv)について,
イコモスは,本推薦資産がこの評価基準に適合していると考える。
⑥ 資産に影響を与える要因について
イコモスは,資産に与える主な懸念は,都市における開発圧力であると考える。
管理体制の文脈において,遺産影響評価*の仕組みを整える必要がある。また,自
然現象による古墳への影響もまた懸念される。
*遺産影響評価:世界遺産の資産・緩衝地帯の範囲内外において事業が計画され
た際にその影響を評価すること
「百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群」について
仁徳天皇陵古墳
【構成資産】 45件49基の古墳
百舌鳥エリア(大阪府堺市):23基(仁徳天皇陵古墳 ほか)
古市エリア(大阪府羽曳野市・藤井寺市):26基(応神天皇陵古墳 ほか)
【概要】
百舌鳥・古市古墳群は、古墳時代の最盛期であった4世紀後半から5世紀後半にかけて、当時の政治・文化の中心地のひとつであり、大陸に向かう航路の発着点であった大阪湾に接する平野上に築造された。
世界でも独特な、墳長500メートル近くに達する前方後円墳から20メートル台の墳墓まで、大きさと形状に多様性を示す古墳により構成される。墳丘は葬送儀礼の舞台であり、幾何学的にデザインされ、埴輪などで外観が飾り立てられた。
本資産は、土製建造物のたぐいまれな技術的到達点を表し、墳墓によって権力を象徴した日本列島の人々の歴史を物語る顕著な物証である。
これまでの経緯と今後のプロセス
2017年 7月31日 文化審議会において、2017年度推薦候補に選定
9月26日 ユネスコ世界遺産センターへ推薦書暫定版を提出
2018年 1月16日 1月19日 世界遺産条約関係省庁連絡会議 推薦書正式版の提出について閣議了解
1月30日 ユネスコ世界遺産センターへ推薦書正式版を提出
9月 イコモス(※)による現地調査
2019年 5月頃 イコモス勧告(予定)
6月30日
~7月10日
ユネスコ世界遺産委員会
イコモスの勧告と世界遺産委員会の決議について
○世界遺産登録の可否については、イコモス(※)が以下の4つの区分で勧告。
○最終的にはユネスコ世界遺産委員会において決定。
①記 載:世界遺産一覧表に記載する。
②情報照会:追加情報の提出を求めた上で次回以降の審議に回す。
3年以内に追加情報の提出を行った後、現地調査手続きを除くイコモスの審査を
受ける。
③記載延期:より綿密な調査や推薦書の本質的な改定が必要。推薦書を再提出した後、
新規案件と同様の手続きを受ける。
④不 記 載:記載にふさわしくないもの、例外的な場合を除き再推薦は不可。
(※) 国際記念物遺跡会議(International Council on Monuments and Sites(イコモス)):世界遺産委員会の諮問機関。文化財の保存、修復、再生などを行う国際非政府間組織(NGO)。本拠地はパリ。1965年設立。
本日は、当初別の記事を掲載予定でしたが、文化庁より世界遺産関係のリリースがありましたので、急遽速報としてご紹介することになりました。
我が国が世界遺産へ推薦を行っている「百舌鳥・古市古墳群」が、ユネスコ世界遺産委員会において正式に世界文化遺産に登録されると大阪にとっては初となり、2025年に行われる
大阪万博のはずみとなる筈である。
堺市はじめ今回の申請に関わった全ての関係者のご努力が実るとよいですね。
鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」の明和町観光大使
協力(敬称略)
文化庁 〒100-8959 東京都千代田区霞が関3丁目2番2号 電話番号(代表)03(5253)4111
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